2018.05.31
四季を多彩に表現。国内外から注目される
「津軽びいどろ」
「渋谷で若い人たちが、我々の作品を手にとって見ている姿は嬉しかったです」
そう笑顔で話すのは、国内外で高い人気を誇るハンドメイドガラス・津軽びいどろを製造する「北洋硝子」の中川洋之さん。同社は1949年に創業。型を用いずにガラス球を作る“宙吹き”で漁業用の浮球を製作していました。その巧みな技術を活かして、1977年に津軽びいどろが誕生。弘前の桜や十和田湖の紅葉など、青森の四季や自然を表現した、多彩な表情は伝統工芸品に選定されるほど。しかし、これまでの歩みは一筋縄ではなかったと中川さん。
「近年はグラスなど小物が人気ですが、以前はブラウン管テレビやサイドボードに置く花瓶などが中心でした。しかし、それらが少なくなるにつれ、注文が入らない日々が続きました。あの辛い時期にも技術を磨き、作品への挑戦を続けた職人のおかげで今があります」
工房に入ると、若い職人の多さに驚かされます。平均年齢は30代で、作り手は26名。その中で、一際難しそうな作品に向き合うのは4名ほどいる伝統工芸士。最高齢は72歳で16歳からこの仕事を続けているそうです。
中川さんは将来を見据えて話します。「この伝統を引き継がなければなりません。そのために若い人たちにガラス作りの楽しさを伝えていきたいです」。あえて営業部門は持たない同社。その姿勢からはガラス作りへの強いこだわりが感じられました。
北洋硝子 工場長 中川洋之さん
北洋硝子 株式会社
- 東北自動車道青森ICから車で約20分
- 住所
- 青森県青森市富田4-29-13 MAP
- 電話
- 017-782-5183
- 時間
- 9:00 ~ 16:30(ショールーム)
工房の見学は事前予約が必要です。 - 定休日
- 日曜祝日、土曜不定休
- 駐車場
- 無料、5台
- WEB
- https://tsugaruvidro.jp/
7月27日(金)から29日(日)(9:00 ~ 16:30)には、敷地内で毎年恒例のガラス市が開催予定。津軽びいどろの新品や訳あり品が半額以下でお得に購入できます。